アジラが世界に誇る行動認識AIとは

こんにちは!株式会社アジラ執行役員CTOの若狭です。アジラは、”事件・事故を未然に防ぐ世界へ”をVisionに掲げ、施設向けAI警備システムの開発及び販売や行動認識AIを用いたソリューション事業を行う会社です。Tech Blog第2回の今回はアジラが世界に誇る行動認識AIに関して紹介致します。

 

行動認識AIとは

行動認識(Action Recognition)は、人物の行動を認識するアルゴリズムであり、一般的なカメラからのRGBデータをはじめ、RGBデータに深さ情報を追加したRGBD データや、各種加速度センサやモーションセンサ計測データを活用したものなど、様々な入力データに対するアルゴリズムの研究が行われています。特にカメラからのRGBデータを活用した行動認識アルゴリズムは、人物にセンサを取り付ける必要がなく、一般的なカメラで取得可能なRGBデータのみで解析を行うことが可能であるため、様々な業界において行動認識の活用が期待されています。
RGBデータを活用した行動認識アルゴリズムは、図1に示すように、入力が画像(Image)か動画(Video)により分類することができます。また、出力の形態によっても分類することができ、行動分類(Action Classification)と行動検知(Action Detection)に大きく分けることができます。行動分類は入力データに対する行動ラベルを予測するものであり、行動検知はそのデータ内における人物位置及び時間(動画の場合)も行動ラベルと共に予測するアルゴリズムになります。アジラでは、入力を動画とした行動検知アルゴリズムの開発に注力しており、今回の記事では、RGB動画データを用いた行動検知アルゴリズムを中心に紹介致します。

図1:行動認識アルゴリズムの分類例

動画を入力とした行動検知を実現するアルゴリズムにも様々なものが提唱されていますが、検知精度及び必要とされる計算資源などの優位性から、図2に示すように姿勢推定を基盤とした行動検知アルゴリズムをアジラでは採用しています。

 

図2:アジラ社の行動認識アルゴリズム


姿勢推定アルゴリズムAsillaPose®

姿勢推定アルゴリズムとは、画像や動画データを入力とし、その入力データに映る人物の各関節点を推定するアルゴリズムです。姿勢推定を基盤とした行動検知アルゴリズムの精度は、いかに精度良く姿勢推定を行えるかに大きく左右されるため、姿勢推定アルゴリズムの精度は非常に重要なものとなります。アジラでは姿勢推定アルゴリズムをコア技術と位置付けており、開発当初から独自データおよび独自モデルアーキテクチャで開発を行っており、継続的に精度向上を行ってきました。2022年8月にリリースされたAsillaPose® Ver5.0では、精度及び計算効率性において、他の姿勢推定アルゴリズムを大きく上回っています。(図3参照)
 

図3:姿勢推定アルゴリズム比較(Bottom-up Approach)

 

グラフベースでの行動認識アルゴリズム

次に、姿勢推定アルゴリズムから得た姿勢データを時系列で人物毎に追跡し、時系列姿勢データから行動検知を行います。時系列姿勢データの解析では、人物姿勢データをグラフとして扱い解析を行います。Deep Learningでは、前提条件なしにすべて学習データから各種特徴などを学習することもできますが、データに関する仮定を置くことで、学習の効率化及び精度向上が可能なことが知られています(帰納バイアス)。人間の関節点は、隣接する点が変動することは無く、また画像&映像内での回転や並行移動に対し不変であるという仮定をおこくことができるため、人物の姿勢をグラフとして扱うことで、これらの仮定をモデルアーキテクチャに落とし込むことが可能となります。機械学習モデルの学習では、対応する行動の時系列姿勢データを学習データとし、教師あり分類モデルとして学習を行います。この際、アジラでは多くの開発及び運用時に得た行動データを活用することができ、非常に高い精度の機械学習モデルの学習が可能となっています。

 

行動認識AIの応用例

カメラ映像からの行動検知モデルを活用することで、警備、医療・介護、スマートシティ、マーケティング、モビリティ、生産現場など様々な分野での応用が期待されています。特に、防犯カメラの映像から人物の行動を検知し、その後の対応を迅速に行うなどの警備用途では、リアルタイムで高精度の検知を行う必要があるため、非常に高い技術が要求されます。

 

最後に

アジラでは、常に行動認識アルゴリズムをコア技術と位置付け、精度向上を継続して行い、実運用レベルの技術に仕上げてきました。また、更に複雑な行動も精度良く検知を行うために、単眼カメラからの3次元姿勢推定の研究も行っています。